愛すべき、藤井。



「何の用ですか……?」

「……っ、おま……」

「今、取り込み中なので、用がないなら後にしてもらって宜しいですか?」

「……っいや、てか」

「藤井くんの言いたいことはよく分かります。ただ、言われると私のメンタルが激しく損傷する恐れがあります故、静かにお引き取り願えますか?」

「……夏乃、」


なんでこの男はこんなにもしぶといの?
どんなメンタルしてんの?

鈍さってこういう面でも発揮するの?


もういいや。
こうなったら藤井からの侮辱を飲み込むしかなかろう。


教室の隅っこ。
文化祭期間限定で設けられたパーテーションの内側。机が2つ並んでいて、私とうめと神田くん……そして、ギリギリ藤井が覗きこめる程度のこんな狭いスペースで、


何が悲しくて私はドレスを着て藤井に罵倒されなければならないのか……



「似合うじゃん……余裕で可愛い」


藤井は褒めるってことを知らないのかな?普通はさ?お世辞でもさ?『似合ってる』とか『可愛い』とか……って、


ん???


「はぁ?!!」


今、藤井なんて言った?
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