愛すべき、藤井。


台本読んだ時に泣きたくなったけどさ、【カボチャの靴】は酷くない??


いや、ちゃんと配慮されて、ふわふわのフェルト生地で作られたカボチャの靴だけどさ?生のカボチャくり抜いてやったぜ〜!?みたいな靴じゃなくて安心したけどさ!!


シンデレラと言えばガラスの靴じゃん!!!
それは譲れない憧れでもあったのにさ……



誰だよ、カボチャの靴にしたの。
馬車だけでいいんだよ、カボチャは!!!


はぁ〜〜……と、少し長めの溜息を零す私の気持ちを知らない客席は、ここまでのコメディな流れにかなり沸いていて、他のクラスと時よりも明らかに盛り上がりを見せている。


だからラストで失敗するわけには……いかないよなぁ。


一旦幕が降りて、シーンの切り替わりへと移ったステージ。


ついに、来てしまった。
……でもここを乗り越えさせすれば、今日の文化祭は楽しいことだらけ。

相手は藤井だし。大丈夫だ、夏乃。


「藤井はカボチャ、藤井はカボチャ、藤井はカボチャ」



よし!!!!行け、夏乃!!!
無になれ夏乃!!!

< 168 / 280 >

この作品をシェア

pagetop