愛すべき、藤井。
あぁ、どうして私はいつも大事なところでやらかしてしまうんだろう。


「ブッ……ハハハ!名前、なんて言うの?」

「へ?」

「私は美和子《みわこ》。絢斗の父親の一番上の兄の子だから、絢斗とはいとこになるかな?」


『みい』と呼ばれていたから、てっきりみいさんだと思っていたのに、なんと本名は《美和子》さんだったのか。

……しかも藤井のやつ、親戚って言ってたのに、いとこかよ!なんか色々違って頭追いつかない……。




「あ、えっと、」

「伊藤 夏乃。中学から一緒の友達」



私の言葉を遮るように、隣でスラスラと私の紹介をし始めた藤井。

やけに"友達"を強調された気がして、少しだけ胸に傷を負ったけれど、まぁ本当のことだししゃーないか。


「友達ね〜!絢斗はあれか、男女の友情論が成り立つと思ってるタイプ」

「は?なんだそれ」

「私は男女の友情論は成り立たないと思ってる派だから。絶対に、一緒にいたらどちらか片方は相手に少なからず下心が出てくるもんじゃない?」


───ドキッ

美和子さんの言葉に思いっきり反応してしまった私を見て、美和子さんがニヤッと口角を上げた。


え、ちょっと待って…!!
バレた?もしかして今、私が藤井を好きなこと美和子さんにバレた???


「夏乃ちゃん、」

「は、はい!!」


やめて!!お願いだから、言わないで!!藤井に告ったばっかりで、掘り返されるのはしんどいから!

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