愛すべき、藤井。
「なに?」
「……や、別に?」
「あんま見ないでくれる?アホが伝染る」
俺たちの関係は、あれからびっくりするくらい元に戻った。
今まで通り売り言葉に買い言葉で、気づけば隣にいて、夏乃が笑うからつられて俺も笑ってる。
「あ、藤井、今私のことちょっと可愛いとか思ったでしょ??」
ただ、自惚れてるわけじゃねぇけど、好きって気持ちはそう簡単に消えてくれないって聞くし、夏乃が無理してるんじゃねぇかって俺なりに心配してたりはする。
ただ、そうは思ってみたところで、俺から夏乃に『大丈夫か?』なんて聞いたらそれこそ血祭りに遭う。
だから、俺に出来ることはやっぱり、
「……ない。絶対ない。お前が可愛く見えたら世も末すぎて涙も出ない」
こうして、少しでもいつも通りの俺で、いつも通りの時間を過ごすこと。
「なに、埋められたいの?」
「や、目が本気だから!やめろ、まじやめろ」
友達として、夏乃を側で笑わせてやることだと思ってんだけど、それじゃダメかよ。