永久の誓いからの逃亡
5.襲来
結婚の合意をしてから数日が経ったけど、なんだか変な感じ。

ここ最近、私の人生を私が歩んでいる気がしない。
私の意思に関わらず、勝手に歩まされている気分。

こういうのを、運命とでもいうのだろうか。
私1人が望んだだけじゃ、山道さんとの結婚なんてあり得ない。
何か妙な力でも働いているのかと疑いたくなる。

ほら、今だってそう。

「同棲？」

同棲って、どういうものかの？
2人で暮らすってどんな感じ？

何気なくあがったその会話に、空想が広がっていく。

同じ家から行ってきますをして、その家に帰ってくる。
忙しい山道さんだから、あまり家にいないのかもしれないけど、たくさんの持ち物から山道さんの存在を感じるんだろうな…。

なにそのドキドキな毎日。

「俺の住んでるマンションに真綾の荷物を持ってくればいいよ。

2人とも仕事してるからなかなか会えないし、少しでも一緒にいられる時間を作りたい」

たしかに、なかなか2人で過ごせる時間がない。
お互いの家を行き来することはあっても、なんだかバタバタしてしまう。

そして1人になったとき、私の心は寂しさに侵食されていく。
さっきまで2人でいたのにな、なんて感傷的になって、時間を巻き戻したくなる。
< 62 / 183 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop