七瀬クンとの恋愛事情
内緒の関係は繰り返したくない過去から



「 ほら、もう起きなさい」


さすが実家男子、時間に慣れるとだんだんルーズになっていくらしい

半分まだ目が覚めない状態で、ベッドからそのデカい身体がふらりと立ち上がる

「………なんで、会社から遠い俺んちの時より早く起こされんの?」


「君が朝お風呂に入りたがるからでしょ?」

サッサとバスルームへ追いやる


実のところアレから豊田さんがうろつく事を怖れて、
七瀬くんはほぼ毎日会社からの帰り道に着いて送ってくれて、たまに泊まっていく



「着替え、ここに置いとくね」

ずいぶん彼の私物も増えてきた


朝ご飯を用意しながら、自分のお弁当も作って、手の掛かる大きな子供みたいなのがいて

前より早く起きなきゃいけなくなったのは私の方だ

「あ、今日は半熟卵焼きだ♡倫子さんケチャップある?」

食事も基本こってり系が好きらしいが、正直私はあっさり系だ

だからまるで猫の餌付けみたいに、気がつけばお互いの好みの味に合わせて作る食事



「お弁当って俺には作ってくれないの?」

1つだけ作ってある私のお弁当に目を向ける

「作らないよ。君は普段外食でしょ? それに、そこまでする義務はない」


会社内ではこの関係は内緒。いろいろ面倒にならないよう、絶対バレないように徹したいのだ


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