誰かの一番になれない


「どした?」

ベッドに腰掛け、スマホの画面とにらめっこしていると、彼の声が背後からする。

振り返ってみると、お風呂から上がった彼は上半身裸。
バスタオルで頭をゴシゴシ拭きながら、私の隣に腰掛けた。

「フラレちゃいまして」

自虐的に笑ってみせると、彼はニヤニヤ笑いながら私の手からスマホをヒョイっと取り上げ、それを見る。

「うわーなにこいつ。お前のせいにしてんだ」

「そなの。向こうがさ、婚活パーティーにまだ行ってたこととかこっちは全部知ってんのにね」


「てか、お前も人のこと言えねぇじゃん」

そう言うと、私をじっと見つめてくる。

この瞳で見つめられると、私はもう身動きとれなくなる。心身ともに。

「お前、この男よりオレのこと優先してたもんね」

そう言って、彼はキスを堕としてくる。


一度ハマったら抜けられない。蟻地獄みたいな男だ。



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