奏でるものは 〜功介〜


それから、2週に1度程度会うようになり、季節は春を迎えようとていた。


ミリと表向きは、結婚に向けて前向きに付き合う、ということで見合いは無くなり、それはホッとしているが、具体的に話が進んだわけでもない。


ミリと会っても、映画を観たり、買い物をしたり、食事をして、送っていくだけで、二人きりになるのは車の中くらいだった。


キスもしないのは、何となくミリにスキがない。
サバサバとクールで、それでいてどこか遠くをみているような、そんな感じだった。



それでも会うのは、見合いの結果、両親に安心させるため、である。

彼女にスキがあれば、少しは俺のペースで行動出来るのかもしれないが、いつも彼女の声で行動を切り替える。


それで良かった。



積極的に付き合いを深めることも、俺は、しなかった。








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