奏でるものは 〜功介〜


その寝顔を見ていると、ミリの瞼が開いた。


「おはよう、まだ6時だよ。寝ててもいいよ」


ミリの頬を撫でながら言った。


目を開いて、俺を見たあと、クルッと反対向いた。

「大丈夫?」

「大丈夫よ」

「ミリ?頑張りすぎないでいいから、俺と結婚しよう」


ミリが体を少し緊張させて呟いた。


「……仕事の邪魔はしない、浮気しない、彼の墓参りにも行く……」

「分かってるよ。一人で泣きたい時は一人になったらいい。
でも、俺は、いつでもだきしめるから。

彼氏のことは忘れないでやれよ」


ミリが体ごと俺の方に向いて、顔をあげた。


「あなたと私の子どもが出来たら、可愛がってくれる?」


思い切り抱きしめた。


「当たり前だろ?」


「いつか、功介さんの亡くなった彼女のこと教えてね」


「お前も、教えてくれよ。

結婚して、おじさんになってからでいいから」


俺を見てニッコリ笑って、ミリが言った。


「私は、結婚してもおばさんにはならないけど、それでいい?」


ミリにキスをした。



「いつまでも、キレイでいろ。


俺の妻として……な」





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