奏でるものは 〜功介〜
3月の終わりに近い日。
唯歌を待っていた。


「コウスケ?」

「よ、入れよ」


車庫を覗き込んだ唯歌を見て、立ち上がった。


「天気いいね、散歩みたいで気持ちよかったよ」

「だろうな。DVD借りてきたよ、観よう」


部屋に行くと、唯歌がペットボトルのお茶を出していた。


「お土産だよ」

「サンキュ」


いつも、二人で部屋にいると、喋ったり、雑誌を見たり、音楽を聞いたり、テレビやDVDを見て過ごす。

唯歌の観たがっていたDVDをつけて観ていたが、唯歌が隣にくっついてきた。


「ね?コウスケ?」

「ん?」


と横を見ると、唇が一瞬重なった。


「唯歌?」

「ね、ってば?」


スルリと首に腕を 回してくる唯歌の背中に手を回した。




それから、唯歌の体のすべてを、俺のものにした。






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