奏でるものは 〜功介〜


カオリちゃんは、マイペースな子で、楽しそうに見えるのに、あっさりと自分の都合で優ともロクに喋らず帰っていくこともある。


春菜ちゃんは、どちらかと言うと毎日ちょっとでも龍と会いたいと思うようで、ほぼ毎日デートしているらしい。


テスト前になった頃、春菜ちゃんは龍に勉強を見てもらうことになった。
芸術科というのは作品や表現での評価もあるらしいが、テスト前のスパルタな龍の態度によくついていけるものだと、感心しながらも、関わりたくなかった俺たちは溜まり場にいる時間を減らした。




それからも唯歌のことは、やっぱり何も分からなかった。




どこかで生きているんじゃないかと、思いたいが、頭のどこかで、それを完全に否定している。



きっと、気持ちと頭は、それぞれ正直に感じている。


だから、揺さぶられるのだろう。


一人になると、考えることは唯歌のことばかりだった。


ごめん、ゴメンな


俺は、笑っていられるのか………





< 85 / 168 >

この作品をシェア

pagetop