奏でるものは 〜功介〜
第11章


時が過ぎて、唯歌の命日が、巡ってきた。



吐き気がするようなざわつきが身体の内部を襲い、思い出す。



物凄い焦燥感と胸の痛み。


何もできない、したくない。


眠れない夜が、また、始まった。


春休みのその日は、昼前に溜まり場に来た。



昼頃、龍が1人で来た。

1時ごろには優も昌も来た。



いつもと変わらない。
雑誌を見たり、スマホを弄ったりしていた。



「功?今日は………命日だろ?………大丈夫か?」

昌が聞いてきた。


「………大丈夫じゃねぇよ。泣きそうだよ」


3人が俺を見ていた。



「あの日、なんで……って、毎日考えてる。

今日も何をしたらいいのか分からないから、ここにいるんだ」




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