生き続ける意味 **番外編**
ヒカリちゃんは、ふっと笑った。
「恵まれてる子にはね、わからないんだよ。
私みたいな子はね、どこに行っても邪魔者扱いされるの。
親からも、施設の人にも、周りからも変な目で見られる。
おまけに、親がしでかしたことを、私を見る度に噂話する人もいるし……
どこにいても、居場所なんかないよ。桜ちゃんにはわからないだろうけど。
そうなったらさ、消えたい……いっそ死にたいって思うよ。」
「…そんな…。それでも、死んじゃだめだよ。死んだら……」
「じゃあ、私に居場所くれるの?!」
静まり返った部屋に、突如、大きな声が響いた。
ヒカリちゃん…
悲しみのような、怒りのような、見ていられなかった。
「友達をくれる?親をくれるの?
…そんなこと、誰にも出来ないんだから。」
そう言捨てると、ヒカリちゃんは走って部屋を出た。
「ちょっと待って…!ヒカリちゃんっ!」
あたしも慌ててあとを追いかけた。家を出て、病院から離れた奥の方に進んでく。
ヒカリちゃんっ……
見失っちゃ、ダメだ。追いかけないと。今度こそ、本当に会えなくなる…っ
そんな焦りと戦いながら、重い体にムチを打って、必死に走った。
「コホッ…ゲホッ」
…やばい。体が…
肩で必死に呼吸をするけど、どんどん苦しくなる。
頭もクラクラして、意識がもうろうとしてきた。
…あたし、わかるよ。ヒカリちゃんの気持ち。
本当は、死にたくなんかないんでしょ…?
ヒカリちゃんの表情や瞳を見ればわかる。きっと、助けてって言ってる。
だから、無意識かもしれないけど、あたしを連れてきたんでしょ?誰かに、助けてもらいたかったんでしょ…?
自分では止められないから…
だから、あたしにっ………
「はあっ……ヒカリちゃんっ!!」
届け、そう思って叫んだけど、もう限界だった。
あたしは、意識が途切れて、地面に崩れ落ちた。