生き続ける意味 **番外編**
♠ いなきゃいけない存在

* 移り変わる心境






〜桜side〜




ピッ ピッ ピッ


規則正しくなる音。息の苦しさと、体のだるさ。


モヤモヤとした視界が、だんだんとはっきりしてくる。



「…あ、桜起きた?」


上から聞こえたのは、聞きなれた茜さんの声。


「無事でよかった…心配したんだからね?

亮樹先生呼ぶわね?」



すると、茜さんは連絡し、あたしに体温計を入れた。

アラームが鳴って取り出し、ディスプレイを見た茜さんは顔をしかめる。


「んー、やっぱり下がらないわね…」



その時、バタバタと足音が聞こえると、亮樹兄ちゃんの姿が見えた。


「桜起きました?」


「あっ、はい!起きました!
…先生、熱なんですけど、38.8あります…」



「あらま…下がらないねぇ。」


38.8…?熱、そんなにあるの…?

そういえば、すごく寒いし、だるいし……


亮樹兄ちゃんはあたしのおでこに手を開けると、苦笑いした。


「桜、気分はどう?」


「ん…最悪。」


「だろうな」



そう笑うと、服をめくりあげ、聴診器を入れてきた。


肌に当たる聴診器が冷たくて、びくっとなる。

冷たい…寒い…


心音を聴きながら、亮樹兄ちゃんは険しい顔をした。


「んー、やっぱね。ねぇ桜。」


「んー…うん…」


聴診器を抜きながら言う。



「桜ね、肺炎になっちゃってるの。今、苦しいでしょ?」



肺炎…?どうして…??


コクっと頷くと、首のリンパをさわられた。



「だからね、これからもっと熱上がると思うし、しんどくなると思うんだ。
だから、どこか苦しいとか痛いところあったら、ちゃんと言うんだよ?」



亮樹兄ちゃんは優しい声でそう言うと、頭を撫でた。


今でも十分苦しいよ…。


「外でちゃって、無理したからね…
しばらく絶対安静だな。」




外…出ちゃった……


「亮樹兄ちゃん……外、出ちゃった…ごめんなさい。」


声がかすれて、思ったように声が出せない。

喉になにかつまってる気がする…


「ヒカリちゃんから少しだけ事情は聞いたけど…
まぁ今はいいよ。治すのが最優先!ちゃんと治ってから、根掘り葉掘り聞くから。」



……病院抜け出すんじゃなかった。


これじゃ、この前の件プラス今回病院抜け出した件で2個も怒られる……


って、…ん?ヒカリちゃん…?






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