めはくちほどに

布巾を持ってきて、テーブルを拭う。正面に座っている副社長と目が合った。

「大丈夫?」

「大丈夫です。忙しなくてすみません」

餃子を口に運ぶ。大量に作った餃子を食べつくし、副社長の持ってきてくれたケーキを並べる。
誰がどれを食べるかと言い合いをし始めるお姉ちゃんと星子。

アイスティーを淹れながらその言い合いを聞いていた。

「じゃんけんだよ、じゃんけん!」

「たまにしか家にいない長子に譲るのが常識でしょ!」

「都合の良いときにしか帰ってこない長子に譲るものなんてないし!」

「末っ子のくせに可愛くない!」

「止めなよ二人とも。恥ずかしいなあ」

それを止めるのは葉苗だ。

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