お茶にしましょうか

ゆとりが有れば有るほど、何をして良いものかわからないのが、俺たちだ。

もはや、そういった部活動に所属している者たちの宿命なのだろう、これは。

そうして、だらけて居れば、漫画を読んでいた奴が、ようやく口を開く。



「そういえばさ、みんなは高校卒業したら、もう野球しねぇの?」

「俺は、大学行ってするよ。ダメ元で受けたセレクション、受かったし」



今、この部屋には、全員で5人居る。

そして、たった今、喋った2人が進学組だ。

今度は、残りの就職組が言った。




「俺はまだわかんねぇな…働いて、余裕が出てきた頃には、またすっかもな」



就職組の俺ともう一人は、黙ったままで居る。

もう一人の奴が、なかなか喋り出しそうもなかったため、俺から先に言おうとした。

しかし、突然にそいつは、声を発した。

それに俺は思わず、引っ込む。



「俺は、もういいや…!」



そいつがそう発した時、部屋はほんの僅かな間だけ、音が失くなった。
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