Contrary



「あの二人の噂は沢山あるわ」

「噂……?」

「親に見捨てられた、二人には兄がいて彼らはその身代わりだとか……色々あるわ。
まあ、あまり聞いていていい気分はしないものばかりだけどね」



他にもある。
“双子は人殺し”“親戚にすら見放された双子”

根も葉もない噂だと思っていたけどある時、彼ら自身が肯定したものだから学校中が彼らを避けるようになってしまった。

それと同時に流れた噂がある。
“昔は人懐こく、誰でも笑顔で迎え入れる優しい双子だった”と。

今ほど依存もしていなかったって噂もあったかしら。

いい噂の方はきっとめんどくさいことになるだろうから、言わないけれど。



「そんな噂……あんまりよ!」

「そうかしら?
彼ら自身が肯定したってことは、真実でしょう?」

「でも!」

「甘ったれてんじゃないわよ」

「粃……?」

「“あの子達”が認めてしまったら、それが真実なのよ。
誰が否定しようと、誰が信じたくないと願ってもね」



そうよ。
人殺しだってことも、他人を寄せ付けない事も。

“双子”が認めてしまったらそれが全てになる。

それがたとえ、双子のせいではないとしても。
双子でさえ被害者だとしても。


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