Contrary



「復讐とか考えそうよねぇ」



いつの間にか元々の話題から逸れていく5人。
マスターはただ黙って彼らの話を聞いていた。



「そもそも希掠と風華が余計なことしなければよかったんだろうが」

「いやいや、恨むなら黒炎でしょー!」

「そもそも否定しなかったのが落ち度」

「みんな悪いって事だよ」



ここで会話が一度途切れる。
各々、何かを考えているようだ。

マスターは静かに彼らの前にそれぞれがいつも飲んでいるカクテルを置く。



「なぁ、Tenebraeって……」

「その続きは言っちゃダメよ、侑蘭(うらん)」

「なんでだよ。
お前だって同じこと思ってんだろ、紫義(しぎ)」



女性のような口調の男は紫義といい、金髪の男は侑蘭と言うらしい。

彼らはTenebraeの正体について何か知っているようだ。



「言葉にすると本当になりそうだもんねー」

「葉由(はゆ)ちゃんはよく分かってるじゃない」

「そりゃ、僕らみんな同じ事考えてるしねー」



栗毛の男……葉由は悲しそうに笑う。



「立ち直ろうとしていると信じたい」

「そんな簡単なものじゃないよ」

「でも……露衣(ろい)……」

「あの子達にとって存在は大きかったから、仕方ないでしょう。
涼稀(りょうき)」



猫目の男は涼稀、優しげな男は露衣と呼ばれる。
BARに沈黙が流れる。

そんな時、マスターがふわりと笑い仲間ら声を掛ける。


< 90 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop