コンビニの遠藤君
「分かってるっつーの!」

美咲は1ヶ月前に年上彼氏と別れている。

今回の飲み会はその慰め的なモノもあった。

ちなみに私と藤木君は1年近く恋人がいない。

別れた時期は私の方が少し先だったかな。

「とっとと次探しますよーだ!そろそろ適齢期に入るし?1年は付き合って結婚決めたいし!」

だから時間がないのよーっ!とまた叫んでる。

「ねえ。休日の朝からあんまり騒がないで。ご近所さんに聞こえたら嫌だよ。」

あわてて私が言うと、

「あー。沙良まで冷たぁ。」

「おい、拗ねんなよ。まだ酔ってんのか?」

藤木君もしかめっ面だ。

美咲はぶすっとしながら、違う。と言った。

「ただ…。彼氏作って、別れてって何回も繰り返してさ、嫌になって来ちゃった。もういい加減落ち着きたい。って自分で思うの。」

あぁ。少し気持ちがわかる。

私も前の彼とお別れした時、もういいやって思ったんだ。

「そっか。恋愛に疲れちゃった?」

私が聞くと、美咲はそれも違う。という。

「確かに別れるのしんどかって疲れたけど。なんていうかな…10代とか学生の時の恋って、キラキラしてて、特別感があったんだけど、今はさ、パターン化してきちゃってると思う。」

コンパとか紹介とかで出合い、食事行って悪くなければ付き合って、一線越えて、いつの間にかお互いを大事にしなくなって、他に好きな人ができたり、浮気されたりで別れる。

「何やってんのかなーって。恋に恋する歳でもないし、恋愛になれちゃって、誰を好きになっても、行き着くのはおんなじ感じなんだよね。」

ため息をつきながら本音を吐き出した美咲に、私と藤木君は顔を見合わせて言葉に詰まってしまった。

美咲の言うことも分かる気はする。

藤木君は美咲の頭を黙ってぐしゃぐしゃと乱暴に撫でた。

私も美咲の手をそっと繋いでうなずいてみせた。

「…ありがと。」

美咲は苦笑いして、ぽつりとつぶやいた。






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