7日間目の蝉
中庭にあるベンチに腰掛けた。

8月なのに少し冷たい風が、木影のベンチに座る僕達を通り抜ける。

修「で、何悩んでるんだ?」

僕「修…ごめん。ずっと隠していた事があるんだ。」

修「……後…7日間しか生きられない事か?」

俯きながら話していた僕は、驚きの余り耳を疑った。

何で知っているんだ…?そう言う前に修が話し始める。

修「俺、ずっと知っていたんだ。おばさんから聞いてさ。」

僕「母さんが…?」

修「あぁ。聞いた時は信じれなかったよ。で、俺決めたんだ。」

僕も修も、お互い俯きながら話が進む。

修「真白が生きてられる最後の時まで、俺は普通に接しようって。お前もその方がいいだろ?」

修「何かあったらさ。すぐに言えよな!」

ありがとう。俯く修の顔を見てそう言った。

修の茶色がかった少し長い前髪が目に掛かり、表情が良く分からない。その時、風が吹き修の前髪がなびく。

口は笑っていたけれど、修の目は涙で透き通って見えた。

必死に涙を堪える修を見てると、僕も目柱が熱くなる。
僕達2人は言葉を交わす暇もなく泣くのを我慢する。

きっと今、修と言葉を交わすと泣いてしまう。余命を知らされてから今まで、人前では泣いたことは無かった。

これからもずっとそうだろう。

しばらくして5分休憩の終わりを告げるチャイムが鳴る。

修「何でそんな顔してんだよ。ほら、チャイム鳴ったし行くぞ!」

僕「修だって同じだろ。あぁ、行こう。」

ところで真白?鼻にティッシュ詰めとけよ!と修は潤んだ目をゴシゴシしながらニヤケ面で僕に言った。

僕「え?どうして?」

修「次の授業、男女共同でプールだぜ?宮野の…」

修が最後まで言い切る前に割って入った。

僕「やめろよな!考えないようにしてたのに(-_-)」

修「早く告っちまえよな〜(σ゚∀゚)σ」

僕「だからやめろって!」

修はいつもの調子に戻り、2人で教室へ戻る。
打ち明けるのが怖いだなんて思っていた僕が馬鹿馬鹿しく思う。

打ち明けたことによって、修と前よりも分かり合った気がした。




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