青い空の下、僕たちは今も

この前の私たち




「青春だぁ…」


久しぶりのグラウンド

思い出す潮の香り

思い出す波の音

隣には、やっと気を許してくれるようになったずっとずっと愛しい彼女


「お前と1つしか変わんねぇだろ」


久しぶりに会ったっていうのに
何も変わらない

普通に部活してるし

まぁ、さぼったら怒るんだけど


「果奈ちゃん、頑張れーっ」


小さい声で応援して、歩き始める羽美

まぁ、頑張らなくてもあの男の方
あの子のこと相当好きだから大丈夫だと思うけど


というか


「どっか行く?
ご飯どうしよっか」


こっちは全然だめかよ


してくれるべきな心配や嫉妬は、山のようにあるはずなんだけど

というか、無駄に一年に狙われてるって話を聞いたから
焦って部活にまで顔を出した俺が馬鹿みたいじゃねぇか


「帰ろ」

「え、家普通にお母さんいるよ?」

「家、いないから」


そこで顔を赤らめる羽美

…逆に家に来る気なかったのか


漏れるため息

いまだに羽美は俺のことが好きなのか、不安になる


「…ごめん、なさい」


隣で足を止めてるのに気がつかなかった

後ろを振り向けば、泣きそうな羽美


「…緊張、してるだけで」


あぁ、もう


羽美の手を取る

もう夏に差し掛かるのに、冷たい


「…俺だって、そうだよ」


それ以上に、触れたくて仕方ないけれど


かわいくて仕方ないから
取り合えず早く帰って


ご飯でも一緒に作ることにしようかな




fin.

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