君との距離5cm

突然そんな事を言い放った神咲くんに私は驚きを隠せない。


「……いいよ、行く」


無意識で発した言葉は自分が1番驚いた。

誘った本人も一瞬目を見開いてすぐに微笑んだ。



「じゃあ決まりな!放課後迎えにいく」


それだけ言って神咲くんは視聴覚室を後にした。



1人になって、さっきまでの神咲くんとのやり取りを思い出す。




神咲くんは何を根拠に私の事を信じるの?

今まで誰も私の言うことを信じなかった。


全部私がいけない


そう言い続けられた。



だから私も周りを信じなくなった。



嘲笑うかのように毎日違う人と夜を過ごして



寂しさ

不安

恐怖



頭の中に入れないように毎日を過ごしてきた。


「……グスッ…」


気づいたら目から涙が溢れた。



「…なんで…いっつも私ばっかり……グスッ…」



< 11 / 75 >

この作品をシェア

pagetop