眼鏡をかけるのは、溺愛のサイン。


 なぜ社長が面接するはずの私と同じ電車に乗ろうとしているのだろう。

「車で移動していたのだが、そこの交差点で事故があり、仕方なく秘書に車を任せて電車に乗った。が、正解だったね。電車も悪くない」

 本当に、いろんなことが重なって社長と出会ってしまったのか。
思わず私も驚いてそれ以上何を言っていいかわからず呆然としてしまった。


「――運命って君も、信じるでしょ?」

クスクスと笑われた私は、なんと言っていいのかわからず、頷くこともできず電車が来るまでずっと社長を見ていたのだった。

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