わたしが小説を書くように
 ある日、先生の家に行くと、先生がキーボードを叩いていた。

「これだけ終わらせてしまうから、待ってて」

 先生の言葉に、お茶を入れて待つことにする。

「お仕事ですか?」

「そう。新作の小説」

「早く、読みたいな」

「できたら、あなたに一番に読んでもらいたいと思ってる」

「約束ですよ。どんな内容ですか?」

「うーん。題名はほぼ、決まってるんだけど」

「どんな?」

「『僕が小説を書くように』」


 そんなこともあった。
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