わたしが小説を書くように
 ひとりで悩み苦しんで、一度実家の母に会いに行った。

 いつもは電話で話す程度だが、親子の仲は悪くない。


 先生のことを話す気はまったくなかったけれど、安心したかった。

 母だけはわたしのことを変わらず思ってくれているから。


 雑談をしていると、母が目を細めていった。

「あなた、好きなひとができたでしょう」


 まったくの不意打ちで、なんといったらいいかわからなかった。
< 43 / 59 >

この作品をシェア

pagetop