ドクターと甘い恋

*嶺菜side

『佐伯嶺菜さん、2番診察室へどうぞ』



病院まで、奈緒と聖夜先生についてきてもらったわたしは、お礼を言いひとりで待合室で待っていた。

もうこの時間は人が少なくて、すぐに呼ばれてしまった。




覚悟を決めて、診察室の中に入れば、パソコンと向き合う陽向先生を見つけ、急に怖くなった。


絶対……怒られちゃう。



何もされてないのに、ジワリジワリと涙が溢れてポロリと頬を伝った。




「座れ、とりあえず。」



いつもより、数倍声が低い陽向先生。

クルクル回る椅子に座ればヒョイと診察室に顔を出したのは、祐希先生。



"なんで?"それも言葉にならなかった。




「定期検診サボるってどういうこと?」


「……」


「とりあえず聴診して、その後血液検査ね。

"いや"は聞かないからな」



怖くて、怖くて涙がとまらなかった。


静かに涙を流すわたしの頭の上で、2回手のひらが跳ねる。



「……でも、偉かったな。

病院来るって自分から言ったのは。」



ぱっと顔を上げると、優しく微笑む陽向先生。

その顔を見たら、更に涙が溢れたーー。


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