期待

ジョーカー最強説

「ジョーカー1人だからダメなんだよ。

2人いれば、ばばなんて捨てられるだぜ!?

2人いれば、めっちゃ最強じゃん!!」

大きく手を広げ、拍手を集める霧島

「今日からのジョーカーは去年までのジョーカーとは違う。だから、もう1人」

──フッ

一気に視界が真っ暗になった

「え?」

多分、暗くなったのは私だけ

私の目に誰かの手が覆いかぶさったから

「だーれだ」

スピーカーから霧島の声が届く

「だーれだ」

耳元で、先輩の声が鼓膜を震わせる

「ふーさん、名前呼んであげなよ」

「なんで、私が、言わなきゃ…」

「ふーちゃん」

その声で呼ばないでよ。先輩の優しい声はいつも私に安心をくれる

あなたが呼ぶから、呼ばなきゃ

「海野先輩」

「うん」

そした霧島の声が近くで聞こえた

スピーカーからではなく、その場から

「俺は、最強の切り札だ。俺のターンはこれで終わり。あとはお前らな?」

そう言われて、目から手が話される

ステージにはだれもいない

横に移動したステージ前の生徒がこちらを見ていた

「ふうちゃん」

「先輩…」

「回れ右」

私は後ろを向いた

私の好きな人

もう今年もすぐ終わる

もう、会いたくても会えない人

片思いを教えてくれた人

「俺さ、気づいてたんだ。ふうちゃんの気持ち」

うん、気づいてるだろうなとは思ってた

「でも俺さ、その気持ちには答えられなかったんだ」

うん、彼女と別れたばっかりだったから

声は出せないけど、私は、ずっと先輩を見ていた

「気持ちを知っていながら、知ってたから、俺、甘えてた」

あ、そっか。やっぱ先輩と両思いじゃなかったんだ。

イチャイチャしたって勘違いしてて、何も知らずに、1人でうかれてた。

あの、保健室であったことが...
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