戦の神 阿修羅
阿修羅の過去
 阿修羅は昔、独りの少年だった。少年の名前はしもん。しかし、みよじはなかった。
また、しもんは、小さい頃から自然がとても好きだった。だから、大きくなっても、土日には近くの森林で散歩し、身体を休めるのが日課のようになっていた。小鳥の美しい鳴き声、一面の鮮やかな緑、身体いっぱいに染み込んでくる森の匂い。全てがしもんの癒しとなった。
 そんなある時、森林の川のほとりに、独りの少女を見かけた。なんだか暗い表情をしていた。悩み事だろうか。けれども、しもんは人と接するのが苦手だったため、そのまま通りすごそうとした。なのに、なぜか身体が勝手に動き、しもんは少女に話しかけてしまった。
 「そんな暗い顔して、なにがあったんか?」
すると少女は、少し驚いてみせたが、すぐにはなしはじめた。
 「私ね、、、嫌われているの。」
(、、、嫌われてる?いじめか?)
 「嫌われてるって、、、。」
少女はとても悲しげにしもんに言った。
 「私はね、お母さんにも、おとうさんにも、お兄ちゃんにも、みーんなに嫌われてるの。」
 「なぜ?」
 「やだよ、言いたくない。言ったらきっと、あなたにも嫌われてしまう。」
しもんはなんて返そうか戸惑ったが、落ち着いて答えた。
 「俺は違う。」
はじめは、[そんなことで嫌いになんてならないよ]、と言おうと思ったが、やめた。しもんにとってはそんなことでも、少女にとってはそんなことどころではないかも知れないから。
 「ほんと?」
 「ああ、本当だ。」
そう言うと少女は軽く深呼吸をした。それだけ重要なことなのだろう。
「あのね、、、私。」
「化け物なの。」
最初は自分の聞き間違いかと思った。だってそんな、いきなり化け物だとか言われても、意味がわからないじゃないか。
「おま、化け物って、、、。」
冗談半分だと思った。
「馬鹿にしないで‼」



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