眠り姫の憂鬱。

◇変わらないで◇



「ねえ、真依。なんで眠り姫なんかと仲良くしてんの?」


扉にかけた手をピタリと止めた。


今日は文化祭前日。いつもより30分ほど早く学校に着いた私は保健室に荷物を置いてから教室に来て今に至る。


扉に付いた窓は磨りガラスで中の様子は見えないけれど、察するに中にはまだ数人のクラスメイトと真依がいるらしい。


まさか私の話をしているとは思っていなかった上に、真依がそこにいることに動揺と困惑の感情で埋め尽くされる。


「だってあの子、なんか変わってるって言うかさ…、」


足が動かなくてそのまま立ち竦む私は耳を澄まして会話の内容を聞こうとする。扉一枚を挟んでいるだけなのに、所々聞こえなかったりした。


「はっきり言ってビッチじゃん?」

「しかも役立たずだし」

「買い物すら行けないとかマジで意味わかんなくない?」


必死に耳を傾けないと聞こえなかったはずの声がやけに鮮明に聞こえた。


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