フレーム




少し、背中が冷たくなりながらも

教室に入って来た太一君を見上げる。




「何その呼び方。」



「こっちのがいいかなー…って

……思ったので。」



「…ッククク、

瀬戸先輩とか、ふはっ」





カタコトで返す私に、

後ろから隼人の笑い声が聞こえる。


怒るでも笑うでもなく

白けた目をした太一君は、

ポケットから私が今、
欲しかったものを取り出す。



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