愛しの許嫁~御曹司の花嫁になります~
「じゃあ、俺が車から降りてちゃんと家の前まで送るよ。この辺、あまり街灯がないから暗くて危ないだろ」

「すみません……」

 鷹野部長と車を降りて、歩いた角を右に曲がるとそのおんぼろアパートが建っている。鷹野部長がどんな反応をするか……そう思うと、もう今更後には引けなかった。

「ここです」

 ドキドキしながらアパートの前に立つ、こんなところに住んでるなんて、恥ずかしくて鷹野部長の顔をまともに見られない。

「わかった。ここが茜ちゃんの家だね、もう覚えたから、また送らせて」

「は、はい」

 鷹野部長はアパートについてなにも言わなかった。

 こんなおんぼろアパート見たら、なんて言ったらいいのかわからないに決まってるよね――。

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