眠り姫の憂鬱
その日は頭の検査がまたあって、
やっと顔を見ることが出来た担当の先生に挨拶をする事が出来た。

「こんにちは、やっと、竹之内さんご自慢の恋人と話す事が出来たね。」
と40代くらいのの男性医師先生は笑ってくれ、
このまま食事や、体を動かす事に問題がなければ、
2週間くらいで退院にして、自宅療養に切り替えても良い。と話してくれた。

「事故の事も、親しい人のことも覚えていないのですが…そのうち、思い出すでしょうか?」と聞くと、

「それはわからないな。でも、今の周りにいる人達はあなたを大切に思ってくれている人だとおもうよ。
まずは、あなたもその人達を大切にしてはどうかな?」と私の顔を真面目に見た。

「…そうします。」と微笑むと、

「うん。やっと笑顔が見れたね。竹之内さんはあなたの笑顔が好きだといっていたよ。
きっとあなたが笑ってくれるのを待っていると思う」

「…はい」と私は返事をして、ベッドに横になった。


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