天使の傷跡
「お前っ…マジでいい奴だなぁっ! ありがとう! ありがとうっ…!! 恩に着るっ!!!」
「あ、あのっ、いえ、そんな大袈裟な…私はただやるべきことをやっただけで…」
「本当なら俺がやるべきことなのに、お前は気を回してやってくれたんだろ? マジでありがとう!」
「い、いえっ…」
がっしりと凄まじい力で両手を掴まれて、その勢いに知らず体が仰け反ってしまう。
というか手を離してほしいです…!
「おーーーーーーーい、徳松」
私がそう考えたのと、どこか呆れたような怒ったような低~い声が響いたのはほぼ同時。
振り返った私達が見たのは、ニッコリ笑いながらも何故かそこはかとない怒りのオーラを滲ませている課長の姿。
自分が怒られているわけでもないのに、何故だかぞぞっと身震いした。