飛べない鳥に、口づけを。







樹君はあたしの青色ユニフォームの袖に触れる。

恥ずかしくなって下を向いたあたしを見て、樹君は声を出して笑った。

すごくおかしそうに。





「柊がさぁ、ユニフォーム着てったら、菜緒ちゃん惚れ直すって言うんだよ。

女の子の心を掴むのはユニフォームだって。

だから俺、ベンチコートの下にまだユニフォーム着てるんだけど……」




そう言って樹君は、自分の胸のあたりを指差す。





「でも、俺が菜緒ちゃんに惚れ直しちゃった」



「……え?」



「菜緒ちゃん、応援してくれてありがとう。

俺は、菜緒ちゃんがいるから頑張れるんだよ?」


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