飛べない鳥に、口づけを。
「川口さん、お世話になりました」
小沢さんは何度もお礼を言ってくれて、嬉しくなったあたしは
「お役に立てて、何よりです」
笑顔で答える。
仕事をこじらせなかったことも嬉しいが、何より小沢さんに「川口さん」と呼んでもらえたことが嬉しかった。
薬剤師なんてあたしに合っていないと思っていたが、そうではないのかもしれない。
あたしは実は、思っているほどこじらせではないのかもしれない。
そう思ったのは、もちろん仕事のほうで……
「本当にありがとうございます。
川口さんをお呼びして良かったです」
そんな言葉をかけてくれる樹さんには、何も言えなくなる。
あたしは顔を真っ赤にして俯いた。