【琥珀色の伝言】 -堤 誠士郎 探偵日記-
グリーティングカード



・・・ 依頼品が放つ無言の言葉 それは琥珀色の伝言 ・・・





『先日、の遺品を整理しておりましたら、このようなカードが出てまいりました。

とても大事な物らしく、文箱の奥にありまして、それだけ綺麗に包まれ特別なものである印象がありました。


文面ですか? 

男性からの、あの……恋文といってもいいでしょう。

ですが、名前もなく、どなたが母へ送ったものなのかわからないのです。

母がどうして、そのような……父以外の男性からの手紙をずっと持っていたのか、それが気になりまして……

娘の私からみても、父と母は仲の良い夫婦でしたから、母の裏切りだとは思いたくはないのですが、手紙の日付に納得がいかないものですから


納得いかない理由ですか?

カードが送られてきた頃、父は日本におりませんでした。 

父の不在の間に送られてきた、男性からの告白のカードです。

その事実が私を苦しめるのです。

ですが……

なぜ母がそこまで、このカードを大事にしていたのか知りたいのです。

娘としては、すぐにでも処分してしまいたい。

けれど、母に秘密があったのなら、私は知っておくべきだと思いました。  


父ですか?

仕事で欧州に一年ほど滞在していたと聞いております』




忌まわしいものでも触るように、彼女はそのカードをテーブルの上に置いた。

美しい絵柄のカードは、彼女がいうように恋文にふさわしいもので、文章もそれに見合う言葉がつづられており 短いが贈り主の愛情を表す文面がしたためられていた。

大事にしまわれてきたのだろう。

時を経た物であるのに、カードの美しさが損なわれることなく今に伝えられたのだった


< 7 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop