チェックメイト
Check
「三次会参加の方はこちらー!」

幹事らしき人が手を挙げて働いている。

「お疲れ様、亜弥ちゃんたちは帰り?」

「はい。日野さんたちは参加ですか?」

「そう、引っ張られんの。じゃあ気を付けて帰りなよ!」

ふらりとやって来た日野さんは向こう側で待つ山口さんの下へと戻っていった。

楽しい人だったな、ああいう人が美月の傍にいてくれると思うと安心する。

二次会から来た人たちは半分ほど参加するんだな、そんなことを思いながら私は凛の方を向いた。

そこには何故か新井さんが当然のように横に立っていたから目を丸くしてしまう。

凛もそれに気付いたようで静かに驚いていた。

「…亜弥、行こう。」

「うん。」

手荷物いっぱいの今、立ち話するくらいだったら早くタクシーに乗って帰りたい。

その思いが強い私たちは見なかったふりをしてそのまま大通りの方へと向かおうとした。

「小林、貸せ。」

「え?」

横から差し出された手に思わず足を止めて顔を上げる。

「荷物持ってやるよ。タクシー捕まえに行くんだろ。」

「は、はい。…あ、でも三次会は?」

「元から行く予定無し。」

私の大きな引き出物の袋はいつの間にか先輩の手の中にあった。

どんな技を使ったんだろう、まったく気が付かなかった。

「凜ちゃんも。手が痛くなっちゃうからね。」

「…どうも。」

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