短編集 『アイデンティティ』
1 神へと捧ぐ日記
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 今日は僕の誕生日だった。
ハルキ兄さんとユウキが祝ってくれた。
ハルキ兄さんは、僕の欲しかった宝石をくれた。
魔よけの、綺麗なラピスラズリ。
ユウキは、曲玉をくれた。
どちらも魔よけで有名だった、綺麗なもの。
 父さんは、今日も海外で仕事をしている。
ユウキが中学3年生に成る頃には帰ってくるらしい。
でも、まだユウキは5歳だから、結構先のことになるだろう。
もう、僕だって高校生だ。
 でも、最近おかしい。
なにか嫌な予感がするし、不吉な気配を感じる。
今日も、2階の自室の窓の外から、それを感じた。
魔よけを貰ったから、きっと大丈夫だろう。
 せっかくの夏休みなのだから、もっと楽しみたい。
ハルキ兄さんは、明日、海に連れていってくれるそうだ。
いままで部活が忙しく、行けなかったのでとてもうれしい。
美術という名の帰宅部に入ってよかった。
ハルキ兄さんが愛車にのせてくれるっていうのが、一番驚いた。
ユウキも楽しみにしている。
僕も一緒に楽しみたいと思う。
 今日、夕食の買い出しのときに、同級生の早川オウと会った。
オウは何故か、変なことを言っていた。
「ユウト、まだ、なのか?」と。
なにがまだなんだろうか?
少し心につかえている。
不吉な気配に関係が有るのだろうか__?
でも、早川オウは、オカルト好きで不思議君なところが有るから、そのことについてなのかも知れないが__。
なにか、魂が、はやくと叫んでいる気がする。
もう遅い。
ユウキが隣のへやでスースーと寝息を立てている。
そろそろ寝ることにする。

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