支社長は取り扱い要注意!
邪魔じゃない迷惑じゃないって言ったくせに、わたしが自分の気持ちを正直に話したから気が変わったの?

そんなのないよ、あんまりだよ…。

こんなことならば、最初から邪魔だ迷惑だとはっきり言ってくれた方がよかった。

「――車…」

そう思っていたら、支社長が呟くように言った。

「はい…?」

呟くように聞き返したわたしに、
「もう遅いから、発車させてもいいか?」

支社長が聞いてきたので、わたしははいと首を縦に振ってうなずいた。

わたしが返事をしたことを確認すると、支社長は車を発車させた。

車内にいるのはわたしたちだけで、先ほどのこともあってかお互い口を開こうとしなかった。

当然のことながら、わたしが言った告白の返事も答えてくれない。

邪魔だって言ってよ、迷惑だって言ってよ…。
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