支社長は取り扱い要注意!
定食を受け取ると、空いている席を見つけてそこに腰を下ろした。

「あっ、支社長…」

その声に視線を向けると、部下の平野だった。

平野は高畑まひるの隣のデスクに座っている女性社員だ。

確か、彼女と高畑まひるは同期だったはずだ。

「ど、どうも…」

そう言ってあいさつをしてきたのは、平野と仲がいい大橋である。

彼女は俺が支社長として赴任したその日に企画のダメ出しを受けた件の女性社員である。

俺に怒鳴られたことが相当トラウマなのか、大橋は俺を苦手としているようだ。

自業自得と言えば自業自得なのだが、企画がハチャメチャだったと言うのは事実だ。

「どうも」

俺は2人にあいさつを返すと、昼食を食べ始めた。

生姜の香りがよく効いている豚肉を白米に巻くと、口に入れた。

そうだ、この際だから彼女たちに高畑まひるのことについて聞いてみるか。
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