「先輩、甘えるってなんですか?」
大きな鳳駕の手は私の手がすっぽり入る。




鳳駕の背中は大きくて、私は全く前が見えない。




でも鳳駕は人に当たらないように気をつけながら歩いてくれる。





鳳駕は何も言わないけど、私はずっと知っている。





そういうさり気ないところ。





「ねぇ鳳駕、どこまで行くの?」





「もうちょい。」





そう言って歩き続けると、だんだん人がいなくなってきた。




人混みを抜けると、川の近くの道に出た。




「・・・・あれ?ここ来たことある?」




昔、見たことがあるような景色。





「分かった?ここ、ちっちゃい時に沙代が迷子になった場所。でもここが一番花火が綺麗に見えるところなんだよ。」




「へぇー・・・・・」




小さい時、実乃里と喧嘩して家を飛び出した私は迷子になった。




誰も来ないとこの道にしゃがみ込むと実乃里をおんぶした鳳駕が迎えに来てくれた。




実乃里は疲れて寝てたけど、鳳駕は優しい顔で私の手を引いてくれた。




「なんか、懐かしいけど恥ずかしい。」




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