私の知らないあなた
「別れたくない、別れたくない、別れたくない」

 どうして私と優斗がこんな不幸な目に合わないといけないのだ?

 どうして優斗が百分の一の確率に当たってしまったのだ。

 優斗は困ったように私を見つめていたがやがて諭すように言った。

「じゃあ僕も治療を頑張るから、僕が良くなるまで待っててくれるかな、雫」

「うん、待つ、待つ、いつまででも待つ」



 両親を説得した。

 私はこんなに頑固で粘り強かったのかと自分自身驚いた。

 それは両親も同じだったようだ。

 自己主張はあまりなく周りに流されるようにして生きてきた私の初めての主張と抵抗だった。 
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