私の知らないあなた
 その日優斗から予定より一時間ほど帰りが遅くなると連絡が入った。

 すでに夕食の準備はできていてテレビでも見ながら待っていようとリモコンを探すが見つからない。

 リビングのどこを探しても見つからないのでベッドルームに行ってみる。

 たまに私はテレビやエアコンのリモコンを他の部屋に持っていってしまうことがある。

 サイドテーブルの上や窓枠など置いていそうなところを探すが見つからない。

 探し物がなかなか見つからないと半分ヤケクソになるのか、まさかそんなところにあるはずもないだろう、というようなところまで探しだす。

 例えばクローゼットの中とかゴミ箱の中とか。

 クローゼットを開けて驚いた。

 中はぐちゃぐちゃだった。

 以前はクリーニングに出された服が整然と並んでかけられていたものが、床に山積みになっている。

 そしてクローゼットの中には服だけではなく、空のペットボトルや空き箱、チラシなどいわゆるゴミだらけだった。
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