水晶の探偵


「そうですねぇ…こういうパーティーとかだったり、南城さんのお宅にお邪魔した時なんかは世間話が多かったかもしれないわ」

「南城さんのお宅にはよく行かれるのですか?」

「他の議員さん達に比べれば、私や東野さんは多いほうかもね。

私は拓人さんと大学から一緒で、その頃から親しくさせてもらっていたし、東野さんは南城さんに期待されてたから」


いつの間にか、丁寧な言葉から普通の口調に変わっていた。

晶に親しみを感じたのか、或いはただの高校生だと認識したのか。



東野はと言うと、少し恥ずかしそうに顔を赤くして、うつむいていた。


「期待されてたなんて…そんな…」

「本当のことじゃないですか。
南城さん、いつも言ってましたよ『東野君は真面目で誠実だ。彼がいればこの政党の将来は安泰だ』って」


東野は益々顔を赤くした。

今時の政治家はこんな恥ずかしがり屋でもやっていけるのか、とか考えながら晶はそれを見ていた。


「まぁ、ワインの話をしていたら横を北宮議員が丁度通りかかったんです。

それで、父が北宮議員に話し掛けて…」





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