【短編】弱った君が愛おしい






「ねーなんでついてくんの?ストーカーなの?」



帰り道、前を歩く翔吾の背中に向かってそう吐く。


「頭悪いってすげーかわいそう。帰り道同じだから仕方なくない?それに俺の方が足長いせいでお前の方が後ろを歩いてるのに、ついて来てるって捉えてる感じがもうアホが滲み出ててさらにかわいそう」



「いっぺんにたくさんしゃべんな!早口すぎてキモいんだよお前!アホ!バカ!」


「頭悪いやつって本当それしか言わないよな」


「っっあー!むかつく!」


「はいはい」


こいつがさっさと彼女でも作れば、登下校の素敵な1人の時間を邪魔されなくて済むのに。


私に、好きじゃなくてもいいから彼氏さっさと作れなんて、言いながら翔吾だって彼女作んないじゃん。モテるくせに。



「だからさ、翔吾も早く彼女作ればいいじゃん」



「そのだからは一体いつの話しから繋がってんの」


うっ、つい心の声と混じって…。


「別にー。ただ私に言うくらいなら翔吾も彼女作ればいいのにって」


「はぁ?今の俺には必要ないからいい」


「じゃあ今の私にも必要ない!」


「真似すんなよ」


「真似じゃないもん!」


「……」


翔吾は呆れたようにため息を吐いてから、歩く速度を上げた。



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