秘め恋


「見つけるまでは帰れない。だからマサは先に帰ってて? お願い」

 アオイの声音は深刻だった。そこには旦那を大切に思う気持ちが込められている。アオイへの想いに浮かれがちだったマサに現実を突きつける瞬間だった。

 アオイにとって、旦那とお揃いの指輪はそれほど大切なものだったんだ……。

 一日中楽しくて、彼氏のフリなどもして、彼女のフリまでしてもらって、すっかり忘れていた。アオイには心に決めた男がいるということを。カップルのフリをするため一時的に指輪を外したのは友情ゆえ。マサへの愛情では決してない。

 分かってたよ。そんなこと……!

 マサの胸中は優しい色から醜い藍色へ目まぐるしく変化していくのだった。











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