夜のオフィスは波乱の幕開け
そんなつもりはなかったのに。



PM22時


私、斎藤千和は1人で予期せぬ大量の残業に追われていた。

その時、ガチャ と扉を開く音がした。

「あれ、斎藤さん、まだいたの?

珍しいね?いつもは終業時間には必ず仕事を終わらせて帰ってるのに。」

そこにやってきたのは部長の大野智一さんだった。彼は私の上司であり、周りからも優秀で尊敬されていた。


「部長、お疲れ様です。
こんな時間にどうかされたんですか?」



「いや、たまたま大事な書類を机の引き出しにしまっていたことを忘れていてね。」


「そうだったんですね。私は予定外の残業です。もう終わりそうなので先に上がってくださいね。」




   急にどうしたんだろー、大野さん。彼から誘ってくるなんて珍しいな~。



  大野さんほどのハイスペックな人になら、ごはん食べにいく女性なら他にもいるだろうに。


  
  彼は東京大学法学部主席卒のスーパーエリートで長い間、外資系企業で勤めていたらしい。


  そのあと、総合商社のウチに引き抜かれてきたガチのスーパーエリートなのだ。


   それに端正なルックスで長い期間を海外で暮らしたため気品に溢れ、誰にでもスマートな対応ができるので社員からは絶大な信頼を得ている。
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