あの日みた月を君も
その後、無事パンダを見ることができた。

ミユキは、「かわいい!」と何度も叫びながら、人の頭の影からわずかに見えるパンダを必死に見ていた。

僕達は人の波をくぐり抜けなんとかパンダ舎から外に出る。

さすがに2時間待ちは疲れた。

お腹が空いたなと思った時、ミユキが「今日は母とお弁当を作ってきました。」と言った時には正直ホッとしていた。

このぐったり疲れた後、お昼ご飯を食べる場所を探すことはとても億劫だったから。

ミユキが作ってくれたお弁当は、どのおかずも素朴な味わいでとてもおいしかった。

誰かに作ってもらったお弁当を食べるなんて久しぶりだ。

「おいしいよ。」

と言って食べる度に、ミユキはにっこり笑って「嬉しい。」と言った。


それから、何度かデートを重ねて、僕とミユキはその翌年の春結婚をした。

僕はミユキの家に婿養子として迎えられて。
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