さくら 咲け


「ハァ、ハァ、...ハァ、」




息が苦しい。足が震えてる。




〝義理〟って私が言った時の、良太くんの表情が頭から離れなくて。



ごめんね。ごめんね。喜んでもらうつもりだったのに、何でこんなこと言っちゃうんだろう。



「麻奈ちゃん」



私と同じくらい息が苦しそうな沙奈が、私の名前を呼ぶ。



「自信が、なくなっちゃったの。

準備してた勇気、どっか行っちゃった。」



沙奈に言う私の声は震えてて、目からは涙が溢れ出す。



ごめんね。

姉として、沙奈を安心させる言葉を言わなきゃいけないのに。


全然、心が鎮まらない。



そんな私を、沙奈はそっと抱きしめた。



本当に泣きたいのは、良太くんなはずなのに。


こんなに勇気がなくて、意気地無しな私を。



「よしよし、麻奈ちゃん大丈夫だよ。
次の機会にまた告白しよう?今回はしょうがないよ」



「よくないっ...、
あの、女の人がっ、いる」




スタイルが良くて、元気で美人な先輩。



お似合いだった。


良太くんとあの人が。




「また、挑戦しよう?

絶対機会あるよ。無理矢理でも作ろう?私が作ってあげるから。ね?」



私の背中をトントンと叩いて落ち着かせてくれる沙奈。



触れるその手が、いつも以上に優しくて、また涙が出る。



ごめんね、ごめんね、沙奈。



ごめん、本当にごめん、良太くん。



応援してくれてたのに。


何も出来ないで諦めて、ごめん朱里ちゃん、花穂ちゃん。



ごめんね、みんな。


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