愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
「今さらお前を本気で口説くわけないだろ。自惚れすぎなんだよ。グダグダ言って俺を拒んで、恥をかかせるつもりか。お前から結婚を断るなんて、あり得ないんだよ。嫌がるならばむしろ、俺からのほうが自然だろ?」

クスクス笑いながら言う彼を、今度は本気で睨んだ。
自惚れているのは海斗のほうだ。
周りの人ばかりではなく、私までバカにするの?まがいなりにも、結婚しようとしている女を?

怒りで手足が震えてくる。
今日ほど、彼との結婚を嫌だと思ったことはない。

「どこまで自分が偉いと思ってるの。私が海斗になにをしたと言うのよ。私は嫌なことは嫌だと言うわ。あなたがどう思おうと、絶対にお断りよ!適当に女遊びのできるあなたと、結婚なんて本当にあり得ないと思ってるから」

私が怒って言っているのに、海斗はニヤニヤと笑っている。

「はいはい。分かったよ。じゃあ、俺以上のスペックの彼氏を連れて来いよ。俺が納得するほどの男なら、大人しくお前に振られてやるよ」

「どうして私と結婚したいの?そんなにバカにするなら、海斗から断ってよ。あなたも私と結婚なんて嫌でしょ?」

ずっと疑問だった。
何度聞いても、答えをはぐらかす。
海斗の真意は、何年も分からないままだ。


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